厚生年金の支給額が今後減らされることになりそうとのこと。
田村憲久厚生労働相は10日の記者会見で、少子高齢化に伴い、国民年金(基礎年金)の水準が将来大幅に減る見込みであることから、低下幅を抑える制度改革を検討する方針を明らかにした。厚労省は会社員が加入する厚生年金から財源を振り分けることで実現したい考え。
国民年金の水準低下緩和へ 厚生年金から財源振り分け,東京新聞,2021年9月10日,
https://www.tokyo-np.co.jp/article/130150,2021年9月12日閲覧
自分のために年金を払うのではない
この方針に反発の声は大きいようだ。
自分の将来のために安くない保険料を払っていると思っていたのに、それが他人のために使われるのでは納得いかないというのも無理はない。
ただ現行の年金制度は将来の自分のために保険料を支払っているのではなく、現在の年金受給者のために保険料を支払っている賦課方式だ。
この賦課方式である以上は、制度上厚生年金加入者の保険料を基礎年金加入者の年金受給のために使っても何ら問題はないのである。
結局税金や保険料といったのは取りやすいところから取るものだ。
低所得から取ろうとしても得られる金額は少なく、それどころか徴収する費用の方が高くつく。
それに取りすぎると最低限の生活さえできなくなり、社会保障圧迫に要因になったり社会不安の原因にさえなってしまう。
一方で法人や富裕層のような高所得者に高い税金をかけても、彼らは豊富な金融知識をフル活用して抜け道を作り出してほとんど税金を支払わずに済むようにしてしまう。
会社員なら自分がどれくらいの税金や保険料を支払っているのか理解していない人は多い。
源泉徴収というとりっぱぐれのないシステムのおかげだ。
給与支払いの前に税金・保険料を控除しているから損しているという感覚が薄い。
それどころか年末調整で臨時ボーナスのような感覚になってしまう人だってるのではないだろうか。(現実には取りすぎた分の税金を還付しているだけだが。)
保険料を上げた方が効率がいい
政府は常々社会保障の費用確保のため消費税を上げようとしているが、痛税感から言えば間違っている。
消費税は買い物をする度に意識せざるを得ない租税である。だから消費税増税するぞ!となったら世論・メディアが反発するのは当然のことだ。
社会保険料なら見えにくい負担なので反発される心配は低い。事実年々年金保険料や健康保険料は上昇しているが、消費税増税の時のような反発は世論・メディア共に低い。
現行の保険料はは年金保険料・健康保険料・介護保険料だけだが、他にももっと保険を作ってしまえばいいのだ。
そういえば子供保険というのも話題に上がっていたことがあった。
子供は未来の宝という理由でも付ければ偽善者だらけの世論は反対しづらい。
保険料としてしまえば国会の議決もいらず行政が決定するだけで保険料を変動させることができる。
消費税増税のために何時間も何年も時間をかけて他の重要な法律を審議する時間を減らしたり、公職者の歳費を支払うために税金を使うくらいなら保険料として徴収する方がよっぽど国民のためではないかと思う。
弱者として暮らすのが最適解
今回の厚生年金の給付額の引き下げだが私はどんどんやってほしいという立場だ。
私は今後も厚生年金に加入するような働き方はさらさらするつもりはないからだ。
というかそんなことはできない。
週5で8時間働き、時には残業して帰宅する頃には夜10時なんて生活をしていたら絶対に精神的に病んでしまう。
負担の少ないアルバイトやパートをしながら最低限の生活を送り、自由な時間を享受できればそれでいい。
日本は弱者に優しい国だ。この国で生きるには弱者として振舞うに限る。